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未確認で進行形で備忘録

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最近見たもの 『ヘイトフル・エイト』と『学園戦記ムリョウ』

『ヘイトフル・エイト』

 登場人物全員悪人というアウトレイジアトモスフィアで繰り広げられる疑惑と暴力と巧妙な会話のフルコース。

 最近では『マッドマックスFury Road』を見てるときも思ったけど、僕は到底味方になれそうもない二人がふとした折りに妙なコンビネーションを見せる瞬間が好きなのだ。『Fury Road』なら砂嵐後に勃発したフュリオサタンク周辺でのマックス(with鎖で繋がったニュークス)VSフュリオサチームの乱戦。ニュークスが置いたマガジンをマックスがノータイムで装填しフュリオサの顔面横に威嚇連射する流れ、最高だよ。もちろん本格的に旅が始まってからマックス&フュリオサのコンビネーションが急速に熟練していく瞬間も良い。

 さて今作でそんな素敵な瞬間を見せてくれるのは賞金稼ぎジョンと彼に手錠で繋がれた犯罪者デイジーだ。お尋ね者と賞金稼ぎという関係故に、仲がいいわけがないのだけど、ふとした拍子に不思議な掛け合いというかコンビネーションを見せる。身体につられて精神も一瞬だけ同期しちゃったみたいに。そういう一瞬、つまり二人の「表面上の」関係性を忘れて父娘か夫婦のように見えてしまう瞬間が、映画のなかに何度かある。

 移動と運動の枷が人間関係のドラマを産む、というのはこのヘイトフルエイトの密室劇という構造そのものがそうだし、Fury Roadもそういう側面がある。元をたどれば駅馬車だってそうだし、ファーストガンダムもそういうところがある。

 移動と運動の枷、といえばラストの「因縁ある二人」もそうだ。それまでは絶対に和解するなんて考えられなかった「白」と「黒」の二人が同じ血の「赤」に濡れて移動もままならないまま寄り添いあい共通の敵に対して恫喝する。同じ色の血がここでは鎖だ。

 そういえばジョンとデイジーも最終的に血まみれで繋がってるんだよなぁ。ゴア描写が「薄皮剥がせばみんな赤色だろ」という主張に直截的に結びつく。

 嘘のない空間に残る鉄臭い爽快感。最高だなぁ。

 

学園戦記ムリョウ

 『ムリョウ』を見るのと同時に『ヨコハマ買出し紀行』を再読していて、この二つの作品は時間のスケールが現今のソレとは違う、という感慨を抱いた。

 単純に時間がゆっくりと流れる、という話ではない。『ARIA』は火星時間という設定を用意してその「ゆっくりとした時間」というものを描いていたけど、あれはこれとは少し違うと思うのだ。

 じゃあ『ムリョウ』と『買出し紀行』の時間は何かと問えば、それはやっぱり一つの未来的な感覚における時間なんじゃないかと思う。流れている時間は今の延長線上にあるもののはずなのに、未来の彼らの感覚はそれを別様に捉えているから、どこか異質に思えてしまう。今とは違う仕方で時間をとらえること、それって実は最も困難なSFを描く上での技巧なんじゃないの、と思った。

 そしてそんな未来時間のなかで現代的な速度で急いでる那由多と若い杉田智和が可愛い。